2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初めて優勝を果たした辻井伸行氏。
生後まもなく全盲と判明しますが、幼い頃より鋭敏な聴覚をもち音楽の才能を開花させます。
私が彼の演奏を始めて聞いたのは、辻井氏本人が作曲した「ロックフェラーの天使の羽」でした。
クラシックなどは趣味で聴く程度ですが、それでもこれほどまでに繊細で優しいピアノを弾ける人間がこの世に存在したことに衝撃を受けたことを覚えています。
そんな辻井伸之氏の才能を誰よりも早く見出し、伸ばしてきたのが母親である辻井いつ子さん。
生後まもなく、我が子が全盲であることを知り悩み葛藤するも、辻井伸行氏の鋭い聴覚に気づきその個性を伸ばすことに注力します。
辻井伸行氏は現在では全世界のメディアも注目する世界的なピアニストとなりましたが、そこにはいつ子さんの存在が大きかったことは間違いありません。
辻井いつ子さんは現在ではホームページ「辻井いつ子の子育て広場」を解説。
子供の能力を伸ばす秘訣や、自身の経験をもとに全国の子育てに悩める親御さんの相談に乗っています。
そんな辻井いつ子さんが、自身の子育て術をまとめたのが「親ばか力 子どもの才能を引き出す10の法則」です。
全盲で誕生した子供の子育てに悩みながらも、子供の個性や子ども自身の興味を大切にすることで辻井伸行さんは一流のピアニストとして成長してきました。
その秘訣は「親バカになること」だといつ子氏は言います。
親バカとは子供を信じること、子供の可能性をみること、子供成長を見守ることです。
辻井伸行さんは赤ちゃんのころ、ちょっとした物音でも癇癪を起こして泣いてしまう子供だったそうです。
ちょっとした家事の物音にも注意を払う必要があり、当時のいつ子さんは疲弊していきました。
しかし、ある時こんな事に気づきます。
この子の過敏な聴力は、じつは子の最大の長所なのではないか
「親ばか力 子どもの才能を引き出す10の法則」p12
子供の個性と可能性に気づけたとき、いつ子さんの親バカになる子育てがはじまりました。
子供を持つ親ならぜひ一度は読んでほしい本です。
また仲間や自身の可能性に気づくヒントになる1冊となるでしょう。