今年の大きなニュースの一つが、デフリンピックの日本開催です。
私がデフリンピックに興味を持つようになったきっかけは、ワクセル(主催:嶋村 吉洋)が開催した
『ユニバーサルイベント東京2025』でした。
このイベントで、デフリンピックの日本代表候補選手の方と直接お会いする機会があり、競技への向き合い方や考え方に心を動かされました。
「デフアスリートとは、どんな人たちなのだろう」
そう思い、もっと深く知りたくて手に取ったのが、『世界に挑む! デフアスリート』(森埜 こみち (著))です。

デフアスリートとは、聴覚に障がいを持ちながら競技に本気で向き合い、オリンピックと並ぶ国際大会「デフリンピック」を目標に戦う選手たちのことです。
そして印象的だったのが、最大の壁は「聞こえないこと」そのものではないという点です。
確かに、スタート音が聞こえない、審判の指示が分からないといった競技上の工夫は必要になります。
しかし、それ以上に大きな壁として挙げられていたのが、
- 情報が届きにくい
- 理解されにくい
- 支援や環境が十分でない
といった、社会的な壁でした。
本の中では、こうした壁に対して、デフアスリートたちが工夫と努力で限界を越えていく姿が描かれています。
視覚的な合図を活用する、独自のコミュニケーション方法を築く、健聴者と協働する。
そこにあるのは、「できない理由」を並べる姿ではありません。
どうすればできるのかを、徹底的に考え抜く姿勢でした。
社会の壁を越え、世界で活躍するデフアスリートの姿から、私は「できない」を乗り越える本質を学びました。
条件や環境のせいにするのではなく、今ある中で最善を尽くすこと。
それは、私たちの普段の仕事でも人生でも同じです。
世界に挑むアスリートたちの姿から、目標に向かう姿勢を学べる1冊になります。