どん底から這い上がった経営者の軌跡「ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。」(前編)

どん底から這い上がった経営者の軌跡「ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。」(前編)
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借金
湯澤 剛
株式会社ユサワフードシステム

(PHP研究所;ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。)

ある日突然、億単位の借金を背負ったらどうしますか?
湯澤剛氏はある日、経営者であった父親から会社とともに40億円の借金を引き継いでしまいます。
大手ビール会社に就職し、順風満帆な人生を送っていた湯澤氏にとってはまさに青天の霹靂。

そのうえ、引き継いだ会社では横領が頻発し経営は満身創痍。
返済完了まで80年がかかるとも言われ、まさしく人生のどん底を味わいます。

最初に私が湯澤氏のことを知ったのは、ワクセルの講演会でのことです。
40億の借金を負った生々しい体験談を知り、Youtubeなどで講演を拝聴する中でどん底から這い上がるための経営者の気構えを垣間見ることができました。

今回は、株式会社ユサワフードシステムの湯澤剛氏の著書「ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる。」をご紹介します。

人生のどん底に突き落とされる

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湯澤 剛
株式会社ユサワフードシステム

湯澤氏はお父様の逝去により、会社の経営を「引き継がなねばならない」事態に直面します。
膨れ上がった借金は40億円にも上り、通夜の中でも連日銀行の取り立ての訪問を受ける状態でした。
半ば、周囲に押し切られる形で勤めていた大手ビール会社を退職し社長に就任。

しかし、引き継いだ会社の経営状況はあまりにも悲惨な状況です。
フランチャイズを展開していた会社は当初、33店舗を展開していたものの、店長はわずかに2人。
所有していた飲食店では板前による横領が頻発し、パートからの内部告発が手元に届きます。

しかし、人手に困る状況では不祥事を起こす従業員の処分もままなりません。
銀行、税務署、電気水道料金の滞納に頭を下げて対応する中、刻一刻と発生する滞納金や利子が頭から離れず眠ることにすら恐怖を感じる状況だったといいます。
状況が改善する兆しすら見えず、ただただ時間ばかりが過ぎていきました。

5年だけ、頑張ることを決める

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湯澤 剛
株式会社ユサワフードシステム

嵐の中に取り残された小舟のような状況で、湯澤氏はある決断をします。

「5年だけ、頑張る」

状況はすでに最悪の状況。
それなら、この事態を解決するために5年間だけ腹を括って頑張ることを決意します。
気持ちの整理をつけるため、考えらる最悪の状況を紙に書きだしました。

そこで、気づいたことは「最悪でも自己破産」ということ。
冷静に考えれば、単に破産するだけ。
破産は人生の一大事ではありますが、それでも現代日本では命を失う事態ではありません。

最悪を覚悟したことで、湯澤氏は一歩を踏み出し続ける勇気がわきます。
湯澤氏は、この時点で3つのルールを自身に課します。

・5年の間、たとえ借金が減らなくても、逆に増えたとしても気にしない。
・とにかくこの5年間は、会社を継続することだけに専念する。
・5年経って状況が何も変わっていなければ、最終計画に従って会社を清算する
(湯澤剛氏;ある日突然40億円の借金を背負う――それでも人生はなんとかなる p925)

以降、湯澤氏はこの3つのルールに基づき会社の立て直しに奔走することになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
最初にこの本を読んだとき、特に冒頭部分では胸が締め付けられる思いでした。
結論を言えば、湯澤氏は16年で40億円もの借金返済に成功します。

しかし、それは特効薬や宝くじのような幸運があったわけではなく、一つ一つの改善の積み重ねによるものでした。
記事の後半では、実際に湯澤氏の経営立て直しの道筋を、葛藤をご紹介します。

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