野村監督に学ぶ!名将が語るビジネスにも通じる勝利の心得

野村監督に学ぶ!名将が語るビジネスにも通じる勝利の心得
野村克也-凡人を達人に変える77の心得
(参考:Amazon 凡人を達人に変える77の心得

田中将大投手がアメリカから戻ってきました。メジャーリーグで78勝を打ち立てた日本球界のエースが7年ぶりに東北楽天ゴールデンイーグルスでプレイします。

名選手の活躍には必ず名指導者の存在があります。田中投手の恩師といえばやはり故・野村克也氏でしょう。野村氏といえば、現役、監督時代を通してデータを活用することで記録を伸ばした人として知られています。代名詞である『ID 野球』はスポーツが詳しくない人でも耳にしたことがあるかもしれません。

野村氏はデータを用いた野球とともに、組織や人間形成に力を入れた監督でした。それは監督時代、いずれも弱小といわれた球団を率いた際に生まれた哲学でした。野球の力で負けている以上、選手それぞれが考え、チームが組織として強くならなければ勝てない。そんな思いで考え抜かれた仕事術は、野球という垣根を飛び越えビジネスの場に通じるものとなっています。

今回紹介する野村克也氏著『凡人を達人に変える77の心得』(株式会社バレーフィールド)には、野村氏の哲学を77の金言から学べます。努力はだれでもしている。しかし結果を残すために頭をフルにつかい、努力できる人はどれだけいるでしょうか。

この本の各章ではそれぞれ「仕事の基礎力」、「飛躍的な成長」、「リーダー論」、「指導論」、「仕事論」、「充実した人生」がテーマになっています。今回は「仕事の基礎力」、「飛躍的な成長」の内容をご紹介します。野球の名将から一流の社会人となるための哲学を学びましょう。

基礎固めの正しい努力

仕事の本質とはなんでしょうか。野村氏は仕事とは「単純作業の繰り返し」だと言います。野球においてはバットを振ること、あるいはボールを掴んで投げるという単純作業が仕事を形作っていると語ります。単純作業に抜きん出たものだけがプロとなる、単純作業の精度を高めたものだけが本当のプロになります。

サラリーマンに照らし合わせてみましょう。営業であればメールを書く、お客さまに電話をする、自社の商品を紹介するということが作業であり、その積み重ねが仕事です。メールであればキーボードで文字を入力する、時制を意識した挨拶をする。電話であればアポを取る、自社の商品紹介は相手の話を聞くというシンプルな要素の組み合わせです。

これらの単純作業で改善できることはないでしょうか。メールであれば送信ミスをなくし、決まった時間に一通でも多くだすフォーマットなどを考えているでしょうか。お客さまのニーズを聞きだすとき、言葉のなかにある欲求に絶えずアンテナがはられているでしょうか。ひとつひとつは単純作業でも、それらの積み重ねが「仕事」の差として表れます。

また、結果をだすためには目標を持つと同時に現実主義者であることも大事だと野村氏は言います。野村氏はプロになる前はジャイアンツに憧れを抱いていました。しかし、入団を希望したのは南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)。キャッチャーであった野村氏は入団希望のチームを決める際、各チームの自分と同じポジションであるキャッチャーの年齢を調べたといいます。

まず20代の選手がキャッチャーのレギュラーであるチームを除外。早い段階でチャンスを掴むために30代の選手がレギュラーを務める南海ホークスへ入団しました。結果的にこの判断がレギュラー獲得へとつながりました。

目標を追い求めるとき、示された道が必ずしも理想通りというものではないかもしれません。しかし、現実を見据えたうえで将来の結果に効果的な選択をするのであれば、選択の先に道が続くことを常に意識する必要があるでしょう。

飛躍のために考えること

選手時代は戦後初の三冠王を獲得するなど、輝かしい成績を収めた野村氏。成果を支えたのは「小事を大切にする精神」でした。相手の小さな癖や、細かい変化に気を配ることで考えを見抜き、自身の成果に変えてきた野村氏。

小事を大切にするには、細やかな神経と鋭い感性が必要だと言います。このふたつは、本人の資質やこれまでの人生の経験で培われたものが大きいと語ります。だからこそ、細やかな神経と感性を磨くには日々の自身の努力が鍵を握ります。

自身の失敗に気づき、向き合う気持ち。二度と同じ過ちを繰り返さない創意工夫。同じ失敗を繰り返さない人間のことを「一流」と呼び、逆に同じ過ちを繰り返す人間を三流と呼びます。

一流になるための実際の行動は具体的には「メモをとること」や「言いわけしないこと」です。人は忘れる生き物。だからこそ気づいたことや感銘を受けたことをメモにとり頭に定着させることが大切です。野村氏自身、メモから気づきを得ることで、野球のみならずその後の人生において成果に結びつけたことも多いと言います。

「言いわけしないこと」は失敗や結果を謙虚に受け止め、改善につなげる姿勢につながります。また、これは自身の内面や実力だけでなく周囲の信頼を勝ち得ます。営業成績の上がらないことを部下の責任にする上司についていきたいと思う部下はいるでしょうか。逆にすべての成果を自身の責任とし、粛々と業務を行うリーダーに信頼が集まります。

野球ば打率 3 割の選手は一流といいます。しかし、打率2割5分の選手との差は 100 打席のうちたったの 5 本です。小さな工夫とわずかな差が抜きん出た成果や評価へと変わるのです。

ちょっとした心構えの差が成長と差をつける

練習で使った野球ボール

これまで、一流の人間となるために金言を紹介しました。「凡人を達人に変える77の心得」ではさらに「リーダー論」、さらには「人生論」など野村氏の考え方が紹介されています。これらの心得についてはぜひ本を読んで確認してください。

仕事に秀でるには努力が必要です。それは小さなことの積み重ねから来ています。野村氏のような歴史に残る野球選手に誰もがなれるわけではありません。しかし、細やかなことに気づき、気を配り、頭をつかって工夫することは確実に自身の仕事を向上させることができます。

「心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる」。野村氏の座右の銘でもあります。日々のちょっとした習慣を変えることで仕事の質を向上させ、ひいては人生を変えることにつながるのかもしれません。

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