困難を乗り越えるヒントは論語にあり!「小学生のための論語」で学ぶ

困難を乗り越えるヒントは論語にあり!「小学生のための論語」で学ぶ
小学生のための論語
(参考:Amazon:声に出して、わかって、おぼえる! 小学生のための論語)

困難に直面したとき、人の本質が見えるといいます。わたしたち自身はなかなか気づけないことですが、日本ほど道徳心が評価されている国は少ないでしょう。10年前、歴史上2番目の被害を生む大災害となった東日本大震災。そのとき日本人は手を取り合い、多くのボランティアが被災地に駆けつけ、団結し窮地を乗り越えました。暴動が起こってもおかしくない状況で日本人が互いに助け合う姿は海外から見ると、とても高貴な姿勢に映ったそうです。

現在、新型コロナウイルスの発見にはじまり2度にわたる緊急事態宣言の発令など、日本はおろか世界規模での困難に直面しています。ネガティブなニュースに目が行きがちですが、多くの人が耐え忍び団結していることを忘れてはなりません。特に自身の危険も顧みず、最前線で活躍する医療従事者の皆さんには頭が下がります。

心の根幹をなすのは道徳心。ではその道徳心は、なにから学べばよいのでしょう。代表的なものとして、孔子の「論語」が挙げられます。「論語」は西暦285年ごろに成立したと言われ、以来1,800年近く人々の心を育む糧となってきました。なにが起こるかがわからない世の中だからこそ、今こそ論語を学び心を鍛えましょう。齋藤孝氏著「小学生のための論語」は、とてもわかりやすく論語の入門編としておすすめです。子供向けだからこそ、論語の大切なエッセンスを感じ取れる1冊になっています。

限界と思ったときの教え

限界と思ったときの教え

「今女は画れり」(いまなんじはかぎれり)

孔子の弟子が、自身の非力さを嘆いたことに孔子が投げかけた言葉と言われています。課題がでてきたときや困難に直面したとき、自分には無理だ、もう駄目だと心のなかで叫んでいませんか。その瞬間、人は自分の可能性を閉ざしてしまうものだと孔子は言いたいのです。

なぜ人は自分の力を低く見てしまうのか。ごまかしたり楽をするためでしょうか。ごまかしの姿勢は、その人の可能性や将来を閉ざしてしまう道にほかなりません。著者の齋藤氏は作家であると同時に教育学者でもあります。日々の教育のなかで感じていることは、人は自分で感じている5倍は頑張れるということです。

学校の試験や仕事で「もうだめだ!」と思いつつ、必死になっているうちに目標をクリアしていた、という経験はみなさんにもあるはずです。

この記事を読む皆さんは日々挑戦し、目標を持つ方ばかりではないでしょうか。目標達成の過程でもこの言葉はいきていきます。孔子はこのような言葉も残しています。

「我れ仁を欲すれば、斯に仁至る」
(われじんをほっすれば、ここにじんいたる)

仁、すなわち思いやりのある行動から始めようと孔子は言います。他者を気づかうことはすぐにできること。思いやりを発揮できる場所はたくさんあります。会社で隣になった人が忘れものをしていたら貸してあげたり、親に電話で声を聞かせたりするのも思いやりです。

小さなこと、身近な仁を積めばそれがゴールに至る。身近にある小さなことの積み重ねが目標達成への方法です。

自分を高めるための教え

自分を高めるための教え

「学べば則ち固ならず」(まなべばすなわちこならず)

学ぶのはなんのためでしょう。孔子は頭が固くならないように、ひとつの物事をいろいろな角度からみることができるようにだと言います。

齋藤氏はこれを、キリンを見ることにたとえます。キリンも真上から見ると首の長い動物だと判断することはできないでしょう。それが横から見るとキリンという動物の姿がすぐにわかります。また、近くでよく見ると実は舌も長い生物だとか、まつ毛も長い生物だということがわかるでしょう。

人は学ぶことによってさまざまなものの見方を身に着けることができます。それは仕事でも普段の人間関係でも役立つでしょう。いろんな風に考えるようになることが勉強の目的です。大人になるにつれ知識が増え、ものの見方が変化したことは経験がある事と思います。勉強はその成長をさらに大きなものにする行為です。

「勇にして礼なければ則ちみだれる」
(ゆうにしてれいなければすなわちみだれる)

齋藤氏はこれを『強くても「礼」がないとただの乱暴者だよ』(引用:小学生のための論語 p95)と説明しています。礼にはじまり礼に終わる。スポーツでも普段の仕事でも大切なことです。

単純に自分が勝つためだけの行いはただの喧嘩。礼をすることで心を整えることが大切です。いくら結果をだした人も、礼をかけてはなりません。いくら会社の中で実績があっても、威張り散らしている上司には「ついていけないな」と思うことでしょう。逆にどんなに大きな実績を出しても、謙虚で丁寧な姿勢をとるひとに上司でいてほしいはずです。

人間関係の教え

人間関係の教え

「己れに如かざる者を共とすること無かれ」
(おのれにしかざるものをともとすることなかれ)

自分を高めてくれる人と友達になりなさい。自分より優れた点をもつ人との交流は自分を高めてくれます。競争の厳しい場所、切磋琢磨する場所に身をおくと必然的に自分の力を高めることにつながります。

また、厳しいところにみを置く勇気と向上心はそのものがないよりすばらしいと齋藤氏は伝えています。高校入学の際に大学進学率の高い学校、あるいは野球、サッカーなどの強豪を進路に選んだ人も多いと思います。それらの学校は相応の厳しさはあります。しかし、だからこそ自分を磨くために最適な場所だと判断し、選択する人が多いのでしょう。

「人の己れを知らざること患えず、人を知らざることを患う」
(ひとのしらざることをうれえず、ひとをしらざることうれう)

自分のことを知ってもらうのではなく、相手の理解に努めましょう。自分のはなしをしたら、相手の話も聞きましょう。

相手に質問し、知ることが自分のことをおしえるよりも大切なことです。自分のことばかり話す人からは友達がはなれ、理解する努力をする人のもとには仲間が集まります。自分の自慢話ばかりする人からは友達が離れますし、聞いてくれる人には仲間が集まります。

論語は言葉ではなく習慣

齋藤氏は論語は習慣化するためのものだと言います。例えばテニスのフォームも「グリップは指の間はこれくらい開けて、足の位置はこんなふうにして、肩は…」という言葉ではなく体で再現して身に付けていくものですね。

同じようの論語も言葉で学ぶのではなく行動を変えていくことが大切です。普段、仕事に対して「無理だ」「今ノルマは厳しい」と言ってしまう方は代わりに「今女は画れり(いまなんじはかぎれり)」と心のなかでつぶやくようにしてみましょう。心が変化し、やがて行動も変わるはずです。論語のエッセンスは仕事や普段の生活を通して身に付けていく教えです。

論語を身に付けることは心を磨き習慣を変えることにほかなりません。今回紹介した言葉以外にも「小学生のための論語」は齋藤氏が論語の内容をわかりやすく紹介しています。論語を学び習慣を身に着け、心を、道徳心を磨きましょう。

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