ワクセルコラボレーター竹本勝紀さんが語る銚子電鉄の経営論!電鉄会社が煎餅、エンタメ、映画作り文字通り何でもあり『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』

ワクセルコラボレーター竹本勝紀さんが語る銚子電鉄の経営論!電鉄会社が煎餅、エンタメ、映画作り文字通り何でもあり『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』
ワクセル 映画
銚子電鉄  映画
銚子電鉄  ぬれ煎餅
イカロス出版
竹本勝則
ワクセル 寺井広樹
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崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略
イカロス出版:崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略

千葉県銚子市、のどかな林道をゆったりと走り抜ける一両編成の電車。
銚子電鉄は幾多の廃業危機を見舞われながらも、名物「まずい棒」や「ぬれ煎餅」の販売などユニークな企画で乗り越えてました。

今回ご紹介する『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』(イカロス出版)では、そんな銚子電鉄の笑いあり、涙ありの物語が詰まっています。

この本を知ったのは銚子電鉄社長の竹本勝則さんの講演会に参加したのがきっかけでした。
本のタイトルの通り、常に崖っぷちの経営状態を続ける銚子電鉄。
「電車屋なのに自転車操業」(竹本勝紀さん自身の鉄板ギャグ)、電鉄を名乗りながら運賃の収益は2割程度。
少しでも費用を稼ぐために始めたぬれ煎餅で有名にな、いまでは銚子電鉄と聞くと煎餅屋さんと本気で勘違いする方もいるそうです。

資金を補うため、お菓子の販売や電車を飾りつけてのクリスマス企画、果ては映画製作をも手掛ける銚子電鉄は執念の経営を続けてきました。

そんな 竹本勝則さんの語りに、会場は何度も笑いの包まれていました
竹本勝則さんはワクセルのコラボレーターとしても活躍し、ホームページにはインタビュー記事も掲載されています。

なぜ、崖っぷちな経営を行いながらも銚子電鉄はひとの心をつかむのでしょう。
どうやって、数多の廃業危機を銚子電鉄は乗り越えてきたのでしょう。
『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』 の物語をご紹介します。

笑いと自虐にあふれた生存戦略

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銚子電鉄  ぬれ煎餅
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竹本勝則
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崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略
参考:銚子電鉄

銚子電鉄は創業以来、数多の廃業危機を乗り越えてきました。
1948年、当時の銚子鉄道が解散し、その業務を引き継ぐ形で銚子電鉄は誕生します。
しかし開業3年目からバスの普及により徐々に経営は悪化、やがて事業は赤字へと転落しました。

その後、銚子電鉄は買収によりにバス会社の傘下になるという憂き目にあいます。
しかし、赤字経営つづきの電鉄をバス会社はささえることができません。
間もなく、電鉄は廃止の危機を迎えます。

このときは地元住民の声もあり、なんとか銚子電鉄は存続します。
一方で厳しい営業状態は変わらず、帳簿に続く赤字、赤字、赤字・・・。
そこから、銚子電鉄の波乱万丈の道のりが始めります。

電鉄なのに食品会社になる

1970年代、銚子電鉄は苦しい経営を打開するため、歌謡曲「およげたいやきくん」のブームに乗り、たい焼きの販売をはじめます。
これが軌道に乗り、以降は銚子電鉄は副業で売り上げを補填する戦略をとるようになりました。

1995年、たい焼きに続いて手掛けたのは地元名物のぬれ煎餅。
煎餅販売が軌道に乗ると、(電鉄なのに)ぬれ煎餅は銚子電鉄の主力製品となります。
銚子電鉄はぬれ煎餅の販売は一層の力をいれ、8千万円の資金を投じて工場を建設するなど一大プロジェクトに成長しました。

社運のかかる状況に、当時の駅長もだまっていません。
なんと、駅の職員から食品部門の事業部長に奇跡の転身!

以降はメディアへの露出などもあり、ぬれ煎餅の売り上げは鉄道部門の売り上げを大きく上回り、めでたく(?)銚子電鉄は食品製造販売会社への道を進みます。

電鉄なのに工務店の子会社になる

銚子電鉄のぬれ煎餅販売という副業(?)が好調になる一方、親会社であるバス会社は大きな方針転換を行います。
銚子電鉄を買収後、路線廃止の意向があるものの地元住民との交渉は進みませんでした。

そこでバス会社は建設会社である内野屋工務店に銚子電鉄の事業を売却。
こうして銚子電鉄は(電鉄なのに)工務店の子会社になります。

しかし、これが功を奏します。
内野屋工務店は建設技術を生かし、銚子電鉄に援助を行いました。

そのひとつが駅舎の改築。
駅舎の老朽化が進んでいたものの、赤字続きの銚子電鉄には立て直す余力があるはずもなく、建物はボロボロの状態でした。

そこで 内野屋工務店は銚子電鉄の始発駅である銚子駅を、オランダの風車をモチーフにしたモダンな建物に作り直します。
観光客の増加などにつながり、銚子駅は活気に包まれました。

が、それも長くは続きません。
複雑なつくりである駅舎の維持管理費用が次第に大きな負担となっていきました。
雨風にさらされながら、整備の追い付かない風車小屋・・・。
現在では、4本の柱だけが当時の面影を残しいます。

電鉄なのに、電車が走らない

そんな折、銚子電鉄に激震が走ります。
なんと、銚子電鉄の社長を兼務していた内野屋工務店の社長が、横領罪で逮捕されてしまうのです。

当時、銚子電鉄には行政から補助金が受け取っていましたが、この事件によりそれもストップ。
従業員が総出で資金の工面に走るものの、失われた信頼はなかなか回復しません。

当時、銚子電鉄の顧問税理だった竹本勝紀さんも頭を悩ませます。
社員たちは手弁当でぬれ煎餅の販売に走り、オンラインショップでの販売をはじめ、なんとか自分たちでお金を作ろうと必死になります。

これだけ焦って資金調達に動くのには理由がありした。
車両検査の期限があり、1000万円もの支払い期限が迫っていたのでした。

魂の叫び「ぬれ煎餅かってください!」

いくら赤字続きの路線でも、電車を止めるわけにはいきません。
日々、電車を移動手段として使う地域住民、厳しい状況の中でも廃線を反対し支え続けてくれた地元の人たちのために銚子電鉄はあきらめずぬれ煎餅を売り続けます。

そして、そんな従業員たちの思いが奇跡を呼びますが、これは 竹本勝則氏の講演などで直接確かめてください。

自虐とエンタメの銚子電鉄

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銚子電鉄  ぬれ煎餅
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崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略
出展:銚子電鉄

創業史上最大の危機を乗り超えたものの、銚子電鉄は苦しい経営が続きます。
それでも、暖かい人の支援も受けながら銚子電鉄は現在に至るまで存続してきました。

数々の危機を乗り越えてきた銚子電鉄の秘訣は笑いとエンタメ、そして自虐だといいます。
これまで紹介した通り銚子電鉄はあらゆる秘策をうち、時には電鉄から食品に鞍替えしてでも生き残ってきました。
しかし、これらのことを銚子電鉄の職員は自虐をしながら受け入れています。

冒頭にも書いた 「電車屋なのに自転車操業」 は社長である竹本勝則さんが銚子電鉄の経営を自虐したものですが、この言葉を聞いた人たちは笑いに包まれます。
苦しいこと、つらいこと、ピンチをのそままにするのではなく自虐をもってネタにする。
そこには笑いが生まれ、笑いには人が集まります。

そして、より笑いを生み出すため銚子電鉄はエンタメにも積極的に取り組んできました。
ヒーローショーの「超電神ゴーガッシャ―」、電車自体をお化け屋敷に見立てた「お化け屋敷電車」、クリスマスシーズンに合わせ社内をイルミネーションで飾った「イルミネーション電車」は社内をピンク色に染め、クリスマスというよりもラ○ホテルさながらとなりましたが、メディアで大きな話題を作ることができました。

そしてとうとう映画、『電車を止めるな』の制作に至ります。
銚子にかけて「超C級映画」と銘打たれた作品には、電鉄の社員も登場するとのこと。
ここでも自虐と笑いのセンスが光ります。

数々のピンチを笑いに変えて乗り越えてきた銚子電鉄。
いま、世の中には暗いニュースが溢れますが、そのなかでも自虐と笑いでエンタメを作り出しています。
銚子に足を運んだ際には電車に揺られながら、その裏にある物語を感じてみたいですね。

そんな銚子の物語に触れたい方は、ぜひ『崖っぷち銚子電鉄 なんでもありの生存戦略』を手に取って読んでみましょう。

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