元格闘家の須藤元気(以降、須藤選手)は奇抜な衣装での独創的な入場演出や、予想外の試合スタイルからトリックスターと呼ばれた人気選手でした。
ミドル級(70kg)の選手でありながら100kg以上も重いヘビー級の選手とも臆せず戦い、勝利を収め感動を呼んだ試合もあります(2003年12月31日 バタービーン選手 185kg)。
そんな 須藤選手 ですが、意外にも格闘家にとって大切なものは強さではないと語っています。
注目や人気を集める選手こそ、試合を組んでもらう機会を得ることができ、だからこそ派手な演出やトリックスターと言われる戦い方で個性を演出したそうです。
年末の格闘技イベントの入場パフォーマンスはまさに圧巻。
実は小林幸子をライバル視していたのだとか。
引退後はタレントや政治家などマルチに活躍します。
ダンスグループ 「WORLD ORDER」として2021年9月には2年半ぶりに新しいミュージックビデオを公開しました。
ここまで多彩な発揮できるのは、もちろん 須藤選手の才能と努力による所が大きいでしょう。
それに加え、 須藤選手 はメンタリティや考え方が大きく影響しています。
著書、「やりたい事をすべてやる方法」(幻冬舎)にはそんな 須藤選手の戦略や考え方を記した本になります。
「やりたい事をすべてやる方法」 を通し、自分の想いを達成させるためにアクションを起こす術を体得しましょう。
利益で動くか、感動で動くか
ひとは理屈で動かない。
須藤選手がその考えに至ったのは、2011年東日本大震災のボランティアがきっかけだといいます。
被災の一報を聞き、須藤選手は仲間と共に現地へボランティアへと向かいました。
被災地で多くの人が泥にまみれながら復興に向けて力を尽くしている姿を見て、こう感じました。
「人が動くときには二つの理由しかない。一つは利益。もう一つが感動。つまり気持ちを揺り動かされたときに、人は動き出す(「やりたい事をすべてやる方法」(幻冬舎))」
人は心が揺り動かされた時、夢や目標を掲げて進もうとします。
目標達成には行動が必要となりますが、行動し続けるには必ず向かい風が起こります。
そんな時、須藤選手はどのように乗り越えてきたのでしょう。
今回は「やりたい事をすべてやる方法」(幻冬舎)より須藤元気選手のノウハウを3つご紹介します。
強さや味が成功の秘訣ではない
強いことは格闘家として大切な要素です。
では強い格闘家が、必ず人気のある格闘家になるでしょうか。
答えはノー。
チャンピオンでなくても多くの試合が組まれ、人気の格闘家は多くいます。
チャンピオンでなくても人気の選手は、個性的な魅力にあふれています。
別の例を出しましょう。
現在、業界でもトップクラスの人気を誇るコーヒーショップであるスターバックス。
では、スターバックスは「世界一おいしいコーヒーショップ」でしょうか。
多彩な品ぞろえのコーヒーは筆者自身大好きですが、スターバックスの人気の秘訣は味ではありません。
落ち着いた店内、長居したくなる我が家のような空間。
リラックスしながらコーヒーを片手に仕事をするひとも多いでしょう。
そんな空間づくりがスターバックスの魅力と言えます。
もちろん、格闘家でもコーヒーでも世界一を目指すことは大きな意味があります。
しかし、人気のためには単純に強さや味を求めるだけでは不十分です。
チャンピオンではないけど、常に勝つか負けるかハラハラした試合をし、勝っても負けてもKO決着の選手は人気がでます。
スターバックスも、長く滞在できる落ち着いたお店の雰囲気でよく利用しているという人も多いでしょう。
人気の秘訣が強さや味、一番であることの必要はないことを知ることが大切です。
替えが聞かない技能をもて
須藤元気選手が率いるダンスチーム 「WORLD ORDER」 。
ロボットの動きを模したダンスは独創的です。
なぜ 「WORLD ORDER」 がロボットダンスを選択したかというと、替えの利かないコンセプトを持つための戦略だといいます。
ダンスの業界はギャラが安く、通常だと30歳前後で引退してしまう人が多い世界です。
ダンスの世界に飛び込んだ須藤選手の周囲も、最初はフリーターをしながらダンス活動をするメンバーが多くいました。
そこで須藤元気選手は仲間に対して「WORLD ORDER」 の活動だけで生活するためプロとしての意識改革を行い、そのために替えの利かないダンスのカテゴリーを選択します。
また、チームが成り立つためになにより大切にしたことはチーム全員が同じ意識を持つことを徹底しました。
全員が 「WORLD ORDER」 でプロダンサーとして活動を成立させることを意識し、思いを共有し、その手段としてロボットダンスに特化したチームが完成しました。
変えの利かないチームをつくるには、チーム全員が同じ夢をもつことが成功のカギになります。
決め技は2つに絞れ!
格闘技の試合では、主力とする技はせいぜい2つ程度といいます。
例えば柔道でも背負い投げや払い腰など無数の技がありますが、初段以上になると得意技を2~3程度にしぼることが通例とされています。
ただし、その2つは絶対の必殺技である必要があります。
どんな場面でも最後はその技で必ず仕留める、そんな技が2つだけ持ちあとは捨てても良いと須藤選手は言います。
器用な人は多くいます。
格闘技界にもあらゆる技に精通した選手は多いです。
しかし、器用な選手に限って試合で結果は出づらいそうです。
中途半端な技をもつのではなく、これは!という技に絞ること。
それは格闘技だけではなく、仕事にも人生にも通じます。
大切なのは力ではなく考え方
いかがでしたでしょうか。
力だけではない、人生を勝ち抜く考え方があると伝わりましたでしょうか。
厳しい勝負の世界に生きた須藤元気選手の言葉だけに、説得力があったのではないでしょうか。
須藤元気選手は力だけで勝ち抜くわけではないからこそ、トリックスターと称される独特な戦略や入場のパフォーマンスを生み出してきました。
実際、ある試合では相手に背中を向けるポーズ(お尻ぺんぺんするようなポーズ)で戦ったことがあるのですが、いざとなったら相手から逃げやすいという理由から生まれた作戦だったそうです。
格闘技を力比べではなく、エンターテイメントとしてとらえ工夫を凝らし、腕力以外の戦略でアスリートして生き抜いてきた須藤元気選手。
その考え方は引退後の政治家としての活動、ダンサーやタレントとしての活躍に生かされているのでしょう。
「やりたい事をすべてやる方法」 で須藤元気選手の考え方を学び、夢や目標を達成するヒントとしてください。